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箱根・旧東海道沿いの「甘酒茶屋」に初冬の訪れ 「つるし柿」づくりで冬支度

甘酒茶屋で初冬の風物詩「つるし柿」。かやぶき屋根によく似合う。後方には「参覲交代諸大名休息処」の看板

甘酒茶屋で初冬の風物詩「つるし柿」。かやぶき屋根によく似合う。後方には「参覲交代諸大名休息処」の看板

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 箱根・旧東海道街道沿いにある「甘酒茶屋」(箱根町畑宿二子山、TEL 0460-83-6418)で「つるし柿」が行われ、かやぶき屋根とつるされた「甲州百目柿(こうしゅうひゃくめがき)」が初冬の到来を告げている。

十三代目・店主の山本聡さん

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 店舗は、かやぶき屋根で趣のある母屋(おもや)。十三代目・店主の山本聡さんは、母屋の修繕を担当する大工の親方から「私たちの山梨では、地元の『甲州百目柿』をぶら下げて冬支度が始まる。冬のかやぶき屋根にはつるし柿がよく似合う。送っておくよ」と言われていた。

 それから10年。毎年、「甲州百目柿」が送られてくる。大きな不完全渋柿で、通常のものでも350グラム~400グラム。品種名の「百目」の名称は百匁(ひゃくもんめ=約375グラム)に由来している。山本さんは「『甲州百目柿』が届くと、季節は初冬。つるし柿にして一月もすれば、渋みが無くなり甘みが強く感じられるようになる。ちょうどお正月に甘さが味わえる」と話す。

 歴史小説を多く著している城山三郎(1927~2007年)は「甘酒茶屋」をよく訪れ、連載用の取材をしていた。連載記事の中に「甘酒茶屋」を「参覲交代諸大名休息処」と紹介している。紅葉の箱根では多くの人々が旧東海道を訪れる。山本さんは「紅葉とつるし柿の季節には、なぜか歴史通(つう)の人が多く訪れ『参覲交代諸大名休息処』の看板の前で写真を撮っていく。『参勤ではなく参覲なんだ』と言いながら」と話す。

 つるし柿が甘みを増し始めると箱根に冬が訪れる。

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