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箱根登山モハ1形惜しまれつつ引退 「天下の険」を走り続けた姿に多くのファン

モハ1形(103-107編成)の103号車両

モハ1形(103-107編成)の103号車両

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 箱根登山鉄道で最後の「つり掛け駆動方式」のモハ1形(103-107編成・愛称「サンナナ」)が惜しまれながら引退した。

「100形引退記念さよならイベント」に2200人が集まりにぎわい

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 7月19日に行われたラストランでは、「ありがとう」「さよなら」の声が上がる中、「つり掛け駆動」独特の音を響かせて走行した。翌20日に入生田(いりうだ)車庫に特設会場を設けて行われた「100形引退記念さよならイベント」には多くの鉄道ファンや市民が参加。入場者数が2200人になり、最大待ち時間は約1時間45分。箱根登山鉄道が開催するイベントでは過去最大のにぎわいとなった。

 モハ1形(103-107編成)の車籍は1919(大正8)年までさかのぼる。鉄道開業時から活躍した車両のチキ1形を1950年の小田急車両の乗り入れに伴い改造したのがモハ形。当時は1両につき両運転台の車両だったが、1993(平成5)年より2両固定編成での運行となり、編成中央の運転室は撤去されて現代に至っている。

 利用者の一人は「受験に合格したときにも、就職が決まったときにもサンナナに乗って箱根を下ってきた。私にとっては幸運の車両。助けてくれてありがとう」と話す。横浜から来た女性は「長男誕生前にも、次男のときにも、サンナナにのって強羅の温泉に行った。2人とも丈夫に生まれて育ってくれた。当時は小田原駅から乗った記憶がある」と振り返る。

 箱根登山鉄道の古谷剛士さんは「入庫当初は木造電車だったが、年月を重ねるにつれて改良が重ねられた。しかし、モーターなどは当時のまま使用しており、電車の強さと今まで走らせ続けた技術者の努力が長年の運行を可能にし、多くのお客さまに愛されたのだと思う。先日のラストランの前に乗車する機会があり、改めて感じたのが重い独特なモーター音や、どこか心地よい揺れ。通勤していた入社当時ことを思い出させてくれた。2両とも引退するが、それぞれが別の道でこれまで以上に多くの方々に愛されることを願っている」と話す。

 「大正」「昭和」「平成」「令和」と1世紀にわたり4つの時代、「天下の険」を走り抜けたモハ1形。箱根登山鉄道は、22日に「モハ1形(103-107編成)」の103号車両を日本工業大学宮代キャンパス(埼玉県宮代町)に譲渡することを発表。107号車両は、既に鈴廣蒲鉾本店(小田原市)への譲渡が決定。2両とも第二の人生を迎えることになる。

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