「山地酪農」の夢実現 山北町に「薫る野牧場」で放牧始まる

島崎薫さんと牛の「たらちゃん」

島崎薫さんと牛の「たらちゃん」

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 自然の中で放牧をし、自生する数多くの牧草を食べさせて育てる「山地酪農」の実践を夢見ていた島崎薫さんの牧場「薫る野牧場」が山北町に完成し、「中洞(なかほら)牧場」から5頭の牛が到着した。

「おだあし田んぼアート」で挨拶する島崎薫さん(右)と志村成則さん(6月2日撮影)

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 6月6日。島崎さんはそわそわする気持で牛の到着を待った。東京農業大学・北海道オホーツクキャンパス(網走市八坂)で「食品科学」を専攻。在学中に岩手県で営まれている山地酪農に出合い、卒業後に山地酪農を学ぶため「中洞(なかほら)牧場」(岩手県岩泉町)に就職。4年半かけて山地酪農の基礎を学んだ。

 島崎さんは「自分の牧場を作るのが夢だった。その夢の実現に中洞牧場が協力してくれた。自分が担当して育てていた牛の『たらちゃん』も長旅にもかかわらず元気に到着。放牧が始まった」と話す。

 翌7日には地域の人々の協力で「開牧式」を執り行った。「地元の方々の力添えがなかったらこの牧場は実現しなかった。とても感謝している」と島崎さん。80人を超える人が参加して祝ってくれたという。

 「島崎さんの夢の実現に力を貸そう」という人は多い。志村屋米穀店(小田原市浜町)の志村成則さんもその一人。志村さんがコアメンバーとして推進している「おだあし田んぼアート」では、夢に向かって進む若い人を応援することになり、島崎さんの思いを田んぼアートで描くことが決定。6月2日に田植えを行った。

 島崎さんは「当日は牧場の準備で、前半の神事しか参加できなかったが、とてもうれしい。田んぼアートに自分が描かれることは少し恥ずかしいけれど、応援してくれる人のためにも牧場を成功させたい」と意欲を見せている。

 「薫る野 牧場」では搾乳施設のみが用意され、通常は牧場内で牛が自由に生活する方法で育てていく。「到着した5頭の牛も元気で食欲もある。山北の牧草がおいしいのかもしれない」と笑顔を見せる。

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