箱根登山鉄道の沿線で、11月1日にデビューする25年ぶりの新型車両3000形の試運転が見られるようになり、鉄道ファンのみならず、市民や観光客など多くの人々がレンズを向けシヤッターを切っている。
箱根湯本駅から登り始める新型車両3000形(撮影=松下善彦さん)
1000メートルで80メートル上る80パーミルの急勾配、スイッチバック、80カ所のカーブ、13カ所のトンネル、26カ所の鉄橋を登りながら走る同登山鉄道。導入される3000形新車両(クモハ3000)は、車両の先頭部分を「展望ゾーン」とし、箱根の雄大な自然を車内より楽しめるように前面に大型ガラスを設置、側面には上下に大きく広がる展望窓としている。車両の中間部分は「車窓や旅を楽しむゾーン」とし、ゆったりとしたクロスシート(枕木方向席)を配置している。
同車両は、日本の伝統色である「深い緋色(ひいろ)」と「茜色(あかねいろ)」をメーンカラーにし、箱根の自然にマッチするように工夫されている。デザインは、小田急ロマンスカーVSEや、同MSEを担当した岡部憲明さん。「箱根の自然の豊かさを最大限に感じとれる車両」をテーマにしている。
箱根湯本駅~強羅駅までを40分かけてトコトコ登る姿は、多くの人に箱根の旅情を感じさせている。