宮城野諏訪神社(箱根町宮城野)で7月15日、「天王祭」の神事の一つとして「湯立獅子舞」が行われた。
同神事は諏訪神社の拝殿、境内とその隣にある天王の祠を舞台に、祇園囃子(ぎおんばやし)と太鼓の演奏に合わせ、数種の舞いを行うことで神に天下泰平、五穀豊穣、悪疫退散を祈願する。
獅子は、境内に備えられた煮立った大釜の湯を熊笹の束でかき混ぜ、参拝者の頭上にその湯花(湯しぶき)を勢いよく振りかける。この湯花を浴びた人はその年無病息災になると言われている。
湯立獅子舞は約350年の歴史を持ち、国の選択無形文化財に指定されている。獅子の舞手になれるのは宮城野村の長男のみであり、1週間前から心身を清め、厳しいけいこを行うために宮ごもりをするほど。
箱根町宮城野獅子舞保存会会長の勝俣さんは「昔は獅子の舞手になるまでに7~8年の下積みが必要だった。今は昔と同じようにはならないところがたくさんあるが、舞手という大役は今も昔も憧れの存在であることは変わらない」と話す。
この日、獅子の舞手を担った同会保存委員長の神戸さんは「獅子として舞う父に憧れ40年が過ぎ、今や自分が舞手になっている。この先、若手に伝承していくことが私の責務。けいこは非常に厳しいものだがそれを乗り越えた若手の成長が何よりもうれしい」と笑顔をみせる。