標高1356メートルの駒ケ岳山頂にある「箱根神社元宮」を箱根 駒ヶ岳ロープウェーで訪れるカップルが近年多くなっている。
駒ケ岳は40万年前に活動を開始した箱根火山の一つ。2万年ほど前にカルデラの中央部が噴火し、神山(1438メートル)、駒ケ岳、二子山(上二子山=1091メートル、下二子山=1065メートル)ができあがり中央火口丘が誕生した。
駒ケ岳の北に神山があり、ここで古代祭事が行われ山岳信仰の中心となった。その起源は、今から2400年前までさかのぼる。聖占仙人(しょうぜんしょうにん)が、神山の山神を祈る場所として駒ケ岳山頂に神仙宮を開いた。
奈良時代に、高僧の万巻(まんがん)上人が入峰し、霊夢を受けて箱根三所権現として奉斎。天平宝字元年(757年)に芦ノ湖畔に社殿を造営し、「箱根神社里宮」としたのが現在の箱根神社。駒ケ岳山頂の神仙宮を「箱根神社元宮」として位置付けた。
芦ノ湖畔の箱根神社里宮を訪れる人は常に多く、にぎわいを見せている。駒ケ岳山頂の箱根神社元宮も、「御神火祭・例祭」(10月24日)や、毎月1日と24日の「月次祭」には多くの人が訪れるが、普段の日に若いカップルが目立つようになったのはここ4~5年。箱根神社の元宮であることから、湖畔の「箱根神社里宮」と、駒ケ岳山頂の「箱根神社元宮」の両方を参拝する人も多くなってきた。
横浜から来たカップルは「良い方に出会えるように祈って、しばらくして彼に巡り会った。婚約できるように願ったら、2人で一緒に歩むようになれた。里宮と元宮のおかげ。今日はお礼と結婚の報告に来た」と話す。
東京から来た30代のカップルは「1回目はデートで来た。2回目に来たときに山頂で婚約。今日は3回目で、披露宴をするホテルの打ち合わせの帰り」と笑顔を見せる。
箱根神社元宮には史跡「馬降石(ばこうせき)」があり、白馬に乗って神様が降臨した岩と伝えられている。「ご利益がありそうなので、ここでも手を合わせた」(前出の20代カップル)と言う。