神奈川県西部の山々を背景にアジサイの咲く開成町辺りを走行する小田急ロマンスカーが写真映えする季節になり、レンズを向ける人が増えている。
小田原箱根エリアは、東海道新幹線、東海道本線、小田急小田原線、伊豆箱根鉄道大雄山線、箱根登山鉄道があり、鉄道の被写体に事欠かない。梅雨の季節は、里山では田植えが終わりアジサイも咲いている。新宿を出発した小田急ロマンスカーは、秦野駅や渋沢駅を通過すると大きく左にカーブし、酒匂川(さかわがわ)と平行して走行し小田原に向かう。
ロマンスカーにレンズを向け続けている一人が小澤宏さん。小澤さんは、開成駅と栢山(かやま)駅の間で、農業の営みをレンズに収めてきた。その背景にロマンスカーが走る作品が多くある。
小澤さんは「里山に続く農業の風景が一つのテーマ。背景にロマンスカーが写ると構図が決まる」と話す。背景の山、アジサイ、田植えや稲刈りの様子など作品の重要な要素になっている。「農のいとなみ鉄道フォトコンテスト」で関東農政局長賞(グランプリ)に輝いた作品もその一つ。
小澤さんは「この季節に一番合うロマンスカーは、ローズバーミリオンの色に、ロマンスカーの伝統色であるバーミリオンオレンジの帯をあしらったGSE(70000形)。緑やアジサイの花の色にマッチして、誇らしげに走っていく。これからも営みを感じられる風景写真を撮り続けていきたい」と話す。