小田原宿なりわい交流館(小田原市本町3)で11月16日・17日、小田原の伝統工芸品の展示会が開催された。
「今に伝わる暮らしの中の工芸品」をテーマに行われた同イベントでは、1984年に通商産業大臣より伝統工芸品の指定を受けた「寄木細工」や「小田原漆器」のほか、「小田原ちょうちん」、「鋳物」など約140点の作品を展示し、寄木細工の製作工程である「寄木のずく削り」の体験コーナーを設け、職人の指導の下で工芸品にふれる姿が見られた。
展示品の中でも、柏木美術鋳物研究所(中町3)の「御殿風鈴」は、砂張(さはり)という銅とスズを調合した材質でできている。その音色は、川のせせらぎや虫の声などと同じ「1/f(f分の1)」の揺らぎがあると言われており、黒澤明監督が指示してこの風鈴を選び、映画「赤ひげ」の中で使用していたというエピソードもある。
江戸時代、当時の箱根の山越えには欠かせないものだった「小田原ちょうちん」は、大雄山最乗寺の霊木を使用することによる魔除けの効果や、小さく折りたためる携帯性、その製造方法による雨などへの耐久性の高さ、という3つ特徴を持つ小田原ならではの工芸品。
同市産業政策課の竹井さんは「小田原の4大工芸品を一堂に展示したのは今回が初めて。今後も引き続き展示会を行い、歴史ある伝統工芸品を広めていきたい」と話す。