耐震工事中の小田原城天守閣がライトアップされ、その姿が美しいと評判になっている。
2012年に実施した耐震診断の結果、耐震補強の必要性があるとの診断内容が出た小田原城天守閣。来館者の安全確保のために7月1日から工事が行われている。現在の天守閣は1960(昭和35)年5月、市制20周年の記念事業として復興したもの。宝永時代の再建時に作成された引き図(設計図)や模型を参考に、鉄筋コンクリートで外観復元している。
今回の耐震補強工事では、古文書、絵図、武具、刀剣などの歴史資料を観覧できる展示スペースもリニューアル。1階では江戸時代の小田原城、2階では小田原北条五代の歴史や戦国時代の小田原城の様子を紹介。小田原城を中心に、小田原の歴史的魅力を伝えるストーリー性のある展示を行う。併せて、最上階には武士の間で信仰された「摩利支天像」の祭られていた空間の再現を木造で行う。
今回の耐震補強工事では、メッシュの目が粗い工事用シートを使っている。ライトアップすると一部が透けて見えるため、通常と違う小田原城天守閣の姿が夜空に浮き上がり、市民や観光客から「美しい」との声が上がっている。工事の足場に興味を持つファンも見られ、レンズを向ける姿も増えている。
小田原城天守閣館長で同市城址公園担当課長の諏訪間順さんは「耐震補強工事は順調に進んでいる。来年の春には安心して天守閣を楽しむことができる。リニューアルする展示もストーリー性を持った内容になるので期待していただければ」と話す。
オープンは2016年4月下旬を予定。小田原城歴史見聞館、遊園地など城址公園内他施設は通常通り営業。