箱根の芦ノ湖畔の一本桜が咲き始め、今年も多くの人が訪れ始めている。
樹齢100年を越える同桜は4月13日に開花し、例年よりやや早い20日前後が見頃となる。枝張り22メートル、幹回り5メートル、樹高12メートル、周囲は70メートルの樹勢は「見る人に感動さえ与えている」という。
1956(昭和31)年に箱根プリンスホテル(当時の名称)の建設に伴い、湖畔に桜を植えることになり、ソメイヨシノとエドヒガンザクラが候補になったが、樹命と標高からオオシマザクラに決定。箱根に近い伊豆半島に自生しているオオシマザクラを10本ほど集め、その中から勢いの良い5本を選び寄せ植えされた。5本は互いに寄り添い、毎年見頃には淡い紅白色の花を咲かせている。
都内から見に来た榊原昌平さんは「堂々と根を張り、箱根の山々や芦ノ湖に負けることなく存在感を示すその姿を見ているだけで勇気がもらえる」と話す。訪れるのは今年で7回目といい、「その姿を見ると、桜から『私たちも力を合わせて咲き誇るから、あなたも頑張れ』と叱咤(しった)激励されるようだ」とも。
同ホテルの稲葉健二さんは「5本が助け合って1本となり、力を合わせて咲く姿が人に感動を与えているのだと思う。箱根エリアにある私たちのグループホテルも、湖畔の一本桜のように力を合わせておもてなしに全力を注いでいきたい」と決意を見せる。