
小田原郊外の早川地区にあるミカン園地で現在、イノシシや鳥の被害が続き生産者が対応に追われている。
早川地区には多くのかんきつ類の生産者がおりミカンなどを出荷している。食害は昨年10月頃から始まり、2月にはミカンの品種「清見」と「ポンカン」の交配により作られた「シラヌヒ(不知火)」や、甘くて香りがよい「はるか」などに被害が集中している。これらの品種は、年明けから4月ごろまで出回る「晩柑(ばんかん)類」と呼ばれ、果実1個あたりの単価が高いため被害額も大きい。
地面から高さ1メートルぐらいまでが集中的に食べられてしまい、皮などの食べかすが地面に散らかり、滑りやすいため作業も危ない状況になっている。生産者は金網や電気柵で園地の自主防衛を進めているが、設備投資がかかり、草刈りなどの作業も大変なため、導入に踏み切れない生産者も多いという。
生産者の齋藤一男さんは「自衛をするしかない。来年は金網で園地を防御する。石垣も崩され、その修復もしないといけない。1月に小田原城址公園にもイノシシが現れたと聞くが、今後、住宅地にも出没するのではないか」と懸念する。
小田原の里山を守る活動をし、シカ対策などの推進もしているNPO法人「小田原山盛の会」の川島範子さんは「イノシシや鳥だけでなく、シカ、ハクビシン、猿などの被害が多く、自然のバランスが崩れてきていると感じる。耕作放棄地が増えてたこともイノシシやシカが増えていく原因になっている。里山の復活と維持がきわめて大切。早めの対策が必要」と話す。