関東大震災(1923年)と豆相地震(1930年)で壊滅的な損害を被りながらも再興し、箱根・芦ノ湖の高原・湖水リゾートを牽引(けんいん)してきた「箱根ホテル」(箱根町箱根、TEL 0460-83-6311)が6月15日で95周年を迎える。
「箱根ホテル」の歴史は、江戸時代、箱根宿の本陣・旅籠として営みを続け明治以降も多くの人々を迎えた由緒ある旅館「はふや」までさかのぼる。街道沿いの名旅館として長い間、多くの旅人に利用されてきたといわれている。
富士屋ホテルの3代目社長山口正造は、鉄道、自動車、電話といったインフラが輸入され、東京~箱根間の交通が便利になり始めたことを受けて、近い将来、芦ノ湖畔が大いに開発されると確信。野村洋三が所有していた「はふや」を買収し、箱根ホテル株式会社を設立した。時は1923年、大正12年6月15日のことである。
しかし、開館から2カ月後の9月1日、関東大震災により建物全部が壊滅する大損害を受けた。山口正造は1926(大正15)年に客室と大食堂を完成させ営業を再開した。
さらに、1930(昭和5)年、伊豆地方を襲った豆相地震により、箱根町は関東大震災以上の被害を受け、箱根ホテルは再び全壊してしまう。このときも、山口は芦ノ湖畔の1日も早い復興には箱根ホテルの再興が何よりの急務とし、翌年5月には本館の新築を実施し、1934(昭和9)年4月には営業を再開した。
度重なる被害からよみがえった箱根ホテル。凜(りん)とした姿を湖面に写し芦ノ湖を見つめている。創業95周年を記念して、歴史あるホテルの空間で湖畔ライフを楽しむ「創業95周年記念プラン」の提供を4月1日より開始する。
箱根ホテルの橋本繁さんは「夕食は全8品で構成される小池シェフのスペシャルコース『ミラージュ』を提供。特典として95周年記念箱根寄木細工コースターや夕食時のグラスシャンパンなどを用意。創業からその変遷を見守ってきた芦ノ湖を眼前にリゾートステイを楽しんでいただければ」と話す。
12月30日まで。