小田原市郷土文化館分館「松永記念館」(小田原市板橋)で現在、刺しゅう作家・上田菊明さんの企画展「足柄刺繍の精華」が開催されている。上田さんは今回が地元での初の展示会となる。
足柄刺繍は同地域で輸出産業として栄えた繍箔(ぬいはく)の技法を取り入れた独自の刺しゅう。ぼかし染めを施した絹糸で芯肉を高く入れることにより生まれる立体的な表現と質感が特徴で、1982(昭和57)年に上田さんが創始した。同刺しゅうは国内だけでなく海外でも高い評価を受けており、上田さんの作品はこれまでに数多くの賞を受賞している。
会場ではタペストリーや帯、バッグ、財布などに施した作品約40点を展示。中には「晨明(しんめい)」(日本工芸協会賞)や「直弧紋(ちょっこもん)」(パリ国際サロン特別賞)、「ミミズク紋弧線靫」(ユーロリジョン現代美術世界展ハンディクラフト賞)など、上田さんのこれまでの受賞作品も含まれる。
横浜から来た女性は「帯の刺しゅうに感動した。素朴な帯だが刺しゅうが施されて見事に輝いていた」と話していた。
開催時間は9時~17時。入場無料。今月31日まで。問い合わせは郷土文化館(TEL 0465-23-1377)まで。