1850(嘉永3)年に創業し、わずか9人の社員でみそ造りをしてのれんを守る加藤兵太郎商店(小田原市扇町5)が作る味噌「いいちみそ」が話題を集めている。併せて地元異業種の商品開発に協力するなど、新しい挑戦にも積極的に取り組んでいる。
七代目の加藤篤さん「愚直にストイックに味噌づくりをしている」と話す
2019年12月、ヤフーが運営する「エールマーケット」で紹介された加藤兵太郎商店。多くの人が、原料と箱根山系の地下水で仕込み、今では珍しい木桶(きおけ)で熟成させているみそ造りを知るきっかけとなった。
7代目の加藤篤さんは「昔から伝わるみそ造りの手法を変えずに今日まで来ている。その一つが木桶。90年以上使用して酵母菌や乳酸菌がすみ着いた木おけで熟成させるため、ゆっくりと熟成する過程で木桶の効力が発揮され独特の味と風味を作り出している」と話す。
受け継がれた手法を維持するために新しい挑戦も積極的に行うことも受け継がれている。その一つが、5代目の加藤栄造が木桶の運搬に鉄道用のレールを導入。効率良い製造工程に挑戦している。製麹機械トムゼットやボイラーも早くから導入している。
小田原のパン工房ジョイからの依頼で「味噌(みそ)パン」の開発にも原料提供で協力し、ヒット商品になりつつある。加藤さんは「新しい話は断らず、積極的に取り組む。そうした努力が伝統あるみそ造りを守り支えることになる。これからも多くの人にみその味と文化を伝えていきたい」と意欲を見せる。
店舗の営業時間は当面10時~16時。日曜・祝日定休。
※発信当初、「木おけ」と表現していましたが、古来からの伝統製造道具名であること、味噌の味を決める重要な要因であることなどを鑑み「木桶」に変更しています。