11年前に湯河原のわずか11坪の小さな店舗で創業した豆腐と湯葉の専門店「湯河原十二庵」が、400メートル離れた新店舗に移動して営業を再開する。
「あれほど狭かったのに」と思っていたが什器などが引っ越すと思いの外広い
移転開業は8月7日。この日は「立秋」で「大安」。「ひらく」「牛」「百事吉」と申し分ない日柄。店主の浅沼宇雄さんは「湯河原の人々は、豆腐屋を始めたいという私を受け入れてくれた。しかも心配半分で応援もしてくれた。そうした方々のためにも、新店舗でも成功しなければならない。そのスタートの日はこの日しかない」と暦を指差す。
浅沼さんにとって思い出の多い創業店舗。販売と製造の全てを小さな店舗でこなしてきた。妻の和美さん、娘さん、懸命に働き続けてくれた従業員と店舗は「みんな一緒に戦った戦友」と話す。店舗の汚れや傷の一つ一つにも思い出があるという。
7月27日の引っ越し作業はスムーズに進んだ。「エアコンも効かないし、仕事中すれ違うのも一苦労な店だが、僕たちの大好きな小さな店」と浅沼さん。「離れるのは寂しいけど、前へ進み続ける」と自分に言い聞かせる。
新店舗への移動のため創業店舗を離れる際、和美さん、娘さんの3人で記念写真を撮影。3人共ごく自然に感謝の気持ちを表すために頭を下げたという。この写真が地元では話題になった。
新店舗は創業店舗から約400メートル海寄り。製造エリア、販売エリアの他、浅沼さんが巡り会った生産者の商品を取り扱うエリアで構成。イートインスペースも用意する。浅沼さんは「この地で修業しながら始まり、皆さんに支えられてきた。私にとっての第2幕。新店舗でも心を込めた商品を提供したい。ぜひ来店していただければ」と呼び掛ける。
営業時間は10時~18時。水曜定休。