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箱根登山鉄道「モハ2形109号」、3月21日にラストラン 懸命に山を登る姿に惜しむ声

109号-106号-104号の連結(撮影=大橋史明)

109号-106号-104号の連結(撮影=大橋史明)

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 箱根登山鉄道で天下の険・箱根を登り続けてきた「モハ2形109号」が、3月21に惜しまれながらに引退する。これを記念して「ラストラン方向版」の掲出走行(2月13日~)と、「109号車内写真展示」(同20日~)が行われる。

強羅駅で次の日の始発のために夜を明かすモハ2形109号

 箱根登山鉄道の前身である小田原電気鉄道で、1927(昭和2)年に登場した木造車の走行系機器と新製車体を組み合わせて製造された車両が「モハ2形」。当時の形式称号は「チキ2型」。1952(昭和27)年に行われた形式称号変更により「モハ2形」となり、今回引退する車両は「モハ2形109」と呼ばれた。1955(昭和30)年より始まった鋼製車体への改造が行われるが、現在でも屋根部分に木製の面影が残っておりクラシック感あふれる車両としてファンも多い。

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 モハ1形や今回のモハ2形などのクラシック車両は、箱根の自然を車内から見やすくした3100形「アレグラ号」などの新型車両の導入により引退が続いている。今回のモハ2形109号も、多くの時間と作業が必要な定期検査の時期が迫っていることから引退が決まった。

 「英語の単語はほとんどモハ1形か2形の車両の中で覚えた」「箱根を登るときの音が好き」「イチマルキューは僕の友達」など惜しむ声が聞かれる。コロナ禍で引退するモハ2形109号。引退セレモニーは行わないが、車内での写真展示を目的に乗車を予定しているファンも多い。

 箱根登山鉄道で車両の整備を担当する検車区区長の中老雅明さんは「先輩方との思い出の詰まった車両。入社以来30年以上の付き合いになるので引退は寂しい」と思いを話す。

 箱根登山鉄道に魅せられてレンズを向ける人も多い。現在は写真家として活動している大橋史明さんもその一人。大橋さんは「多くのファンの脳裏に焼き付く連結がある。それが『モハ2形109号-モハ1形106号-モハ1形104号』。別々の塗装が施された3両が勢ぞろいして箱根の山を登っていた。自分の作品の中で好きな一枚」と話す。

 クラシック車両を撮影する人々は写真だけでなく心の中にもその映像を焼き付けていく。大橋さんも「初めて箱根登山鉄道を撮影した車両がモハ2型シリーズだった」と大学生だったころを振り返る。「強羅駅で次の日の始発のために夜を明かすモハ2形109号と共に徹夜したことも貴重な思い出の一つ」と話す。

 「109号は決して華やかな電車ではないが、飾らない姿でいつも箱根の山に溶け込んでいたように思う。つらいことがあったときは、地道に山を登る姿に元気をもらった。109号の車体載せ替えの1955年から66年間、本当にお疲れさま」と感謝の気持ちを言葉にする。