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小粋に楽しむ湯河原の夜 閉店前に明日が良い日であるよう願って拍子木を打つ

4月2日にオープンした「ビールスタンドかどや」と運営する共同代表の川合涼子さん

4月2日にオープンした「ビールスタンドかどや」と運営する共同代表の川合涼子さん

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 夜のとばりが下りたころ、「からんころん」と下駄(げた)の音が聞こえ、「寝間着を裏返して着て寝ると好きな人が夢に出てくるって」と楽しげな会話が湯河原の千歳川沿い落合橋のたもとへと続いていく。

2階の舞台を使用した催しも行われる

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 4月2日にオープンした「ビールスタンドかどや」(湯河原町宮上)では、ビール好きと小粋な人たちで連日にぎわいが続いている。経営するのは合同会社角屋。代表は俳優であり脚本家や演出家でもある相原幸典さん。箱根や湯河原で店舗を立ち上げた実績を持つ川合涼子さんが共同代表として脇を固める。

 「湯河原の川沿いに下駄の音がよく似合う。いつまでもそんな湯河原でいてほしい」と川合さん。相原さんと温泉街の風情にこだわり土産物店だった店舗を改修して開業。2階には小さいながらも舞台を宮大工が作り上げている。

 こだわりはビールの品ぞろえにとどまらず提供される料理からも感じられる。「もう一つ、粋なことがある」と川合さん。舞台の世界で生きてきた相原さんが閉店前に「柝(ひょうしぎ=拍子木)」を打っている。相原さんは「店の閉店を知らすと同時に、またの来店をお待ちしているという願いを込めて打たせていただいている。歌舞伎を含め演劇でも同じようにしており、私が舞台監督時代から30年以上打ってきた。打ってる回数が多いほど柝が良い音で鳴ってくれる」と話す。

 川合さんは「カーンというよりキーンという音が落合橋のたもと界隈(かいわい)に響いている。この音を聞くと今宵から明日に向かって良いことが起きそうな不思議な心持ちになる」という。下駄履きで歩くことを楽しみながら訪れた女性2人もこの音を聞きながら宿へと引き上げた。

 営業時間は、平日=14時~22時、土曜・日曜・祝日=11時~22時。火曜・水曜定休。

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