東京都小平市から香川県の山間部で開かれる「かがわ・山なみ芸術祭2016」(4月6日~11月13日)の会場まで台車(リアカー)を運びながら到着を目指すグループ「モーメント小平」が箱根越えに成功した。
「徒歩で東京小平から香川綾川郡へ向かう、台車を香川へ運ぶ、お金を持っていかない、移動しながら互いに生きていく方法を探す、その日あった出来事などをそれぞれの方法で記録し芸術祭で展示する、楽しい旅にする、いつ入っても抜けてもオーケーとする」という6のルールを作り香川を目指す同グループ。野口竜平さんと鈴木健太さんを中心にゆるやかなつながりのメンバーで編成。通過地点で賛同する仲間の募集をしながら旅をしている。
美術学や人類学に興味を持ち今回の企画を立案した野口さんと、デザイナーで演劇活動もする鈴木さんは共に武蔵野美術大学卒。出発点の小平市は同大学・鷹の台キャンパスの場所。同メンバー旅立ちの起点となる。野口さんは「小平から香川まで台車とともに移動する。台車はこのグループの存在を表すシンボル的な意味を持つ。時には家であったり、時には荷物を効率よく運ぶ仲間だったり、時には私たちに試練を与えたりもすると思う」と話す。
小平市を出発したのは3月2日。箱根に挑んだ日は8日。当日の天候は荒れ気味で、雨の箱根路への挑戦となった。鈴木さんは「夜7時ごろ、無事に箱根路の最高地点に到着。海抜874メートルのところに台車を止めて休憩中。箱根越えは大変な1日。暗くなってから箱根を下りきるのは危険と判断。今日は山頂でテント泊。多くの人の力を借りた箱根越え。感謝したいこと、書きたいことはあるが、だんだん寒くて足先が痛くなってきたので、とりあえず明日に向けて寝る。下りきるまでが山」と記録を残している。
現在、同チームは静岡県内を移動中。「香川への道のりの序盤戦にもかかわらず、多くの人と巡り会い多くのつながりを作ることができている。これは大きな財産。特に小田原での巡り合いは忘れることができない」と感謝の気持ちを言葉にする野口さん。
瀬戸内海国際芸術祭2016パートナーシップ事業として開催される「かがわ・山なみ芸術祭」の今年のテーマは「人をつなぐ 時をひらく(Connect the people, Cultivate the future)」。歩き始めてから巡りあった人々のつながりは、開催テーマを具現化しているようで、同芸術祭で展示発表される内容に期待する声も上がっている。
同グループは3月12日現在、静岡市に到着している。