小田原・下曽我駅前の「梅の里センター」で5月18・19日に曾我兄弟の故事にちなんで「曽我の傘焼きまつり」が始まった。
江戸時代には歌舞伎の演目にもなり多くの人に知られている「曽我物語」。曽我兄弟が父の仇(かたき)である源頼朝の寵臣を受けていた工藤祐経を討ったのは1193(建久4)年5月28日。兄の十郎は騒ぎの中で討たれ、弟の五郎は捕らえられたと伝えられている。兄弟の霊をなぐさめるため、地元では毎年5月に「傘焼まつり」が行われている。
「なぜ傘を焼くのか」。誰しもが思う疑問の答えが、主催する曾我兄弟遺跡保存会・傘焼きまつり実行委員会の鳥越睦夫会長の言葉にある。「鎌倉時代に実在した物語で、曽我十郎・五郎兄弟が、父の仇討ち(あだうち)で、闇夜に身につけていた蓑(みの)と傘(又は笠)を松明(たいまつ)に使い大願成就した故事にあやかって、(現在では)番傘に願い事を示し、焼き上げる祭り」と紹介する。
行われるプログラムは、曽我物語の浮世絵の展示と解説、「富士の夜襲」上映、松明行列、下曽我小学校子ども劇「曽我物語」、曾我兄弟・郎党他協力団体パレード、傘焼き神事など多彩。「今夕行われる松明行列と傘焼きはぜひ多くの人に参加してほしい。郷土の歴史を体感できる」と呼び掛ける。
「曽我の傘焼きまつり」は「かながわのまつり50選」に選ばれている。