父島・母島などの小笠原諸島がルーツとなる漁業従事者用サンダル「ギョサン」の中で母島だけで販売され「幻のギョサン」と呼ばれている「母島ギョサン」がマツシタ靴店に入庫したが人気が高く品薄になっている。
ギョサンの歴史は小笠原諸島を米軍が統治した1946(昭和21)年までさかのぼる。1月29日に、父島・母島なども連合軍施政権下に入った。米軍の統治時代が始まり、生活様式にも変化が起き履き物としてビーチサンダルを利用する人が多くなりサンダル文化が始まった。
1968(昭和43)年、小笠原が日本に返還された頃から、リゾート感覚のビーチサンダルに変わり、すべりにくい合成樹脂製のサンダルが漁師の間で普及。「漁業従事者用サンダル」と呼ばれるようになった。70年代には住民も使い始めて、「ギョサン」と略されて呼ばれていた。
1990年代に、母島で特注のギョサンを発注。これをきっかけにしてオリジナルカラーのギョサンが登場し観光客にも人気を集めるようになった。これが母島ギョサンのルーツと見ることができる。
マツシタ靴店の松下善彦さんは「母島ギョサンの人気は高い。通常のギョサンは、父島・母島の両島で手に入れられたが、母島ギョサンは母島だけで販売していた時期があるため、父島からわざわざ時間をかけて買いに行くほどだったとの話もある。どちらかというと母島ギョサンの方が柔らかい履き心地との声も聞く。品薄なのでお早めに」と呼び掛ける。