旧三福不動産(小田原市栄町)が、小田原の風情ある古民家を買い取りや借り上げで整備・再生し、魅力ある拠点を作り上げる事業を加速している。
情緒がある古民家も、生活をすると不便な部分も多く維持管理に費用がかかることもあり、取り壊しが増え徐々に解体されている。一方で近年は古い建物に魅力を感じる人も増え、観光資源として注目され、地域の魅力づくりに貢献しているケースも多い。
旧三福不動産では、こうした古民家に着目。その歴史的な資産と魅力を生かしてリニューアル。現在までに元美容店(小田原市浜町)や民家(同本町)、元豆腐店(同板橋)が活用されている。
3月31日にオープンしたカフェ「TEA FACTORY如春園」もそのひとつ。昭和7(1932)年に小田原市板橋に築造された2階建ての木造建築で、88年間、豆腐店の店舗、加工場、倉庫として利用されていた。特徴は、江戸時代から大正にかけての商家で多く用いられた「出桁(だしけた)造り」。梁(はり)又は腕木を外に張り出した造りで、町家や商店の格を示したものとされている。
「TEA FACTORY如春園」を運営するのは、お茶農家の「如春園」。お茶を「育てる・作る・飲む」ことを楽しめる工房兼カフェで、喫茶のほか工房で製茶の見学や茶づくり体験ワークショップなども開催している。
旧三福不動産の山居是文さんは「今後も古民家を再生し、地域の魅力の拠点になるようにする。小田原は城下町。歴史が築きあげた財産を大切にしていきたい」と話す。