小田原城で開催されている「小田原提灯(ちょうちん)」をテーマにした光の祭典「小田原ちょうちん&光アートフェス with 北条五代」で展示されている小田原提灯に書かれたメッセージが見る人々に勇気と元気を与えている。
小田原市観光協会の朝尾直也さんは「多くの方々が寄せてくれたメッセージに勇気と元気をもらっている」と話す
童謡・唱歌の「お猿のかごや」(山上武夫作詞・海沼実作曲)で、「ひぐれの山道 細い道 小田原提灯ぶらさげて」と歌われている「小田原提灯」。開発したのは、相州は小田原の在、甚左衛門。享保年間(1716~1736年)の頃から小田原名物として利用され始めたといわれている。
小田原提灯の特徴は3点。円筒形で小さくたたむことができるため「懐提灯」と呼ばれていたこと。通常では丸い竹ひごを使用するが小田原ちょうちんでは四角を使用し、糊面が広いため丈夫だったこと。上下にあるふたに、大雄山最乗寺の灌木(かんぼく)を使用し「魔除け」になっていること。これらは「小田原提灯の三徳」と言われてきた。
小田原では、毎年「小田原ちょうちん夏まつり」が開催され、その一環として「小田原ちょうちん水上アートフェア」が行われていた。ここで展示される小田原提灯は、小田原市内の小学生が提灯作りに挑戦し完成した作品が展示されていた。毎年、2000張りを水上アートフェアで展示し夏の風物詩になっていた。作品から子供たちの個性や夢を感じることができるため会場は多くの市民でにぎわいを見せていた。
コロナ禍で、小学生の提灯制作が対面作業で行われるため感染リスクが高くなることから中止となっていたが、光の祭典「小田原ちょうちん&光アートフェス with 北条五代」の中で一部復活。小学生が作るのではなく一般公募で集められた和紙に書かれたメッセージをボランティアに委託し、1人で提灯に仕上げる方法で行われた。
北は北海道、南は九州各地からメッセージが寄せられ1500張りが完成し展示されている。医療従事者や市民への感謝と応援メッセージが張られ、明かりが灯りライトアップされると感動的な光の空間になっている。
小田原市観光協会の朝尾直也さんは「小学生の作ったものではないが、多くの方々が寄せてくれたメッセージに勇気と元気をもらっている。明かりが灯るとメッセージが浮き上がり見る人々を魅了している。言葉の力、提灯のありがたさを改めて知った。何回も見に来られる市民もいらっしゃる。早く穏やかな日々が来ることを願っている」と話す。
「小田原ちょうちん&光アートフェス with 北条五代」の開催時間は10時~21時。小田原提灯のライトアップは18時~21時。5月16日まで。