地域循環型の自然養鶏を行う「春夏秋冬」(小田原市久野)が3年前から栽培している「樹成り完熟の梨」が、「果汁があふれる」と評判になっている。
規格外の梨を鶏に与えたところ好評で小さいながらも地域循環型手法が回り始めた
春夏秋冬の檀上貴史さんは「梨は棚を作り栽培する『棚栽培』。両手を棚まで上げて行う作業はとてもつらい。梨の栽培には剪定(せんてい)や土壌の手入れも手間がかかる。農家の高齢化も進み生産農家の減少を加速させた」と話す。
地域循環型手法で自然養鶏を行っている春夏秋冬。「鶏の糞と剪定した枝や落ち葉を一緒に発酵させて堆肥を作り活用。実った規格外の梨は鶏の餌(えさ)として活用できるのでは」との思いで梨の栽培を開始した。
大変だったのは落ち葉をていねいに取り除く作業。これを行うことで、生育初期の黒星病の発生を軽減できるため全力で行った。規格外の梨を鶏に与えたところ好評で小さいながらも地域循環型手法が回り始めたという。
こだわったのは「樹成り完熟」。「完熟まで収穫せずに木に付けたまま。そうすることでおいしい梨が栽培される。通信販売で完熟収穫のその日に発送した。収穫日の予告まで行った。併せて直売所をフル活用。東京西麻布の直営直売場も連日オープンさせた」と経緯を話す。
「樹成り完熟の梨」の「幸水梨」は8月10日から、「豊水梨」は20日過ぎより収穫を行い即日発送を継続。「果汁があふれるほど」と高い評価を得たという。今年の収穫作業をほぼ予定通りに行った檀上さんは、今後の展開として「栽培面積を増やして来年もおいしい『樹成り完熟の梨』を提供していく予定。地域の方々やJAかながわ西湘からの応援にも感謝」と話す。