小田原市内を流れる酒匂川(さかわがわ)左岸下流にある「早咲き桜並木」で3月に入り、「大漁桜(たいりょうざくら)」が見頃を迎え、初春が近いことを訪れる人に知らせている。
「桜鯛」に似ており大漁を祈願して名づけられた酒匂川左岸・早咲き桜並木の「大漁桜」
1965(昭和40)年に網代中学校(2006年3月閉校)の角田晴彦校長によって作り出された新品種の「大漁桜」。オオシマザクラ(大島桜)とカンヒザクラ(寒緋桜)のかけ合わせで誕生した。花の大きさは中輪で一重咲きの淡紅色。その姿と花色が「桜鯛(さくらだい)」に似ており、大漁を祈願して名付けられたといわれている。
富士山東麓と丹沢山地西南部を源流とする酒匂川は、足柄平野を南下、小田原で相模湾へ流れ込む。地域観光の歴史とスポットを巡る小田原・箱根ナビゲーターの村山寛明さんは「まるで酒匂川の流れを祝福するように、鈴廣蒲鉾(かまぼこ)・恵水工場の脇の土手で咲き誇っている大漁桜。神奈川県西部地域には多くの桜のスポットがあり、いずれもきれいに咲くが、ここの桜は見て観賞するだけでなく、港、漁業、川、富士山、足柄平野の営みなどに思いを寄せることができる桜。ぜひ、ご覧いただければ」と話す。
3月5日から9日にかけて満開となった大漁桜。「大漁とは縁起が良い」と訪れる人も多く、19日前後まで見頃が続く。