箱根一帯で3月20日の夜から降り始めていた雨は早朝4時ごろから雪になり、白一色の雪景色に変えた。
箱根では昔から、「4月10日までは必ず雪が降る。どんなに桜が咲こうが、カエルの合唱が聞こえようが雪は降り、その後にそろりと春が来る」と言われている。江戸初期に創業した旧東海道沿い「甘酒茶屋」の十三代目店主の山本聡さんは「毎年、この時期に雪が降る。今回の雪は、この冬で一番の降り。吹雪いたりしているので囲炉裏(いろり)の火がありがたく甘酒がおいしい」と話す。
早朝、山本さんが仕込みのために店に来ると雪が積もり始めていた。午前中には、畑宿から徒歩で訪れた観光客が茶屋に到着。「小田原で早咲きの桜で花見をし、今日は茅葺き屋根の風流な店で雪見もできた」と春間近の雪景色を楽しんでいたという。
小田原から始まり徐々に標高の高い地域に咲いていく「桜の山登り」もまもなく始まる。桜と雪が競演すると箱根に春が来る。