農林水産省関東農政局が主催する「農のいとなみ鉄道フォトコンテスト」で、小田原在住の小澤宏さんの作品「次代の担い手」が関東農政局長賞を受賞した。
小澤宏さんの代表作「陽はまた昇る」(2013年「酒匂川フォトコンテスト」グランプリ)
関東地域は食文化を支える「農の営み」が盛んに行われ、エリア内のアクセスを鉄道がつないでいる一大農業地帯。第4回を迎え「農の営み」と「鉄道の魅力」を表現した作品が集まった。その中から、職業体験でコンバインで収穫作業をしている姿と、小田急ロマンスカーの通過を描いた小澤さんの作品がグランプリに輝いた。
昨年9月、小澤さんは愛機のカメラを持ってオートバイに乗り、小田急線栢山駅と開成駅の間で、新名学園旭丘高校の職業体験に巡り会いレンズを向けた。懸命にコンバインを動かして収穫に挑む高校生と、コンバインの扱いを丁寧に指導する志村成則さんの真剣な顔にフォーカスしていた。そのとき、ロマンスカーが収穫を学ぶ高校生を祝福するように通り過ぎた。
「やった!」と小澤さんは声を出したという。子どもの手が離れ、夫婦で花巡りをしながら長野県や山梨県で写真を撮り続けた。腕前に磨きがかかり、数多くの写真コンテストで入賞するまでなった。「写真はカメラの機材ではなく、良い写真を撮りたいという自分の思い。その思いが、光、構図、素晴らしい偶然を引き寄せる」と話す。
撮影当日、高校生の指導をしていた志村さんは「農業体験を初めて10年。若い人材が農業を目指してもらうのはうれしい。こうして写真で描いてもらうと励みになる」と笑顔を見せる。
小澤さんの代表作は、2013年に「酒匂川フォトコンテスト」で会長賞(グランプリ)となった「陽ははまた昇る」。神奈川県西部を流れる酒匂川河口で、だるま太陽と釣り人、カメラマンと水面を跳ね上がるボラを捉えた写真。このときも「やった!」と心で叫んでいたという。
「今後も地域と地域の人々などを描いていきたい」と小澤さんは意欲を見せる。