箱根・旧東海道街道沿いにある「甘酒茶屋」(箱根町畑宿二子山、TEL 0460-83-6418)で、5月24日より「旧街道 運転通過式販売(ドライブスルー)」が始まり、訪れた人々は名物の甘酒を楽しんでいる。
江戸初期に創業した旧東海道沿いの甘酒茶屋には「旅人に休み無し」との教えがあり、400年余り休まず営業を続けてきたと伝えられている。十三代目店主の山本聡さんは「今回、とても無念だが、私の代で4月3日より休業。じっと時が流れるのを待った」と話す。
休業中にいろいろなことを考えた山本さん。創業した江戸時代の旅人に思いを寄せた。「旅人は江戸から一里塚を目安にして歩き続けて来る。江戸から城下町小田原に入って、19里の小八幡、20里の小田原 山王原、21里の風祭を過ぎると箱根路へ。22番目の箱根湯本の一里塚から23番目畑宿の一里塚へと箱根の登りが続く。次の24番目の一里塚は葭原久保で現在の元箱根。甘酒茶屋は、畑宿と葭原久保のちょうど中間に当たり、旅人の疲れもピーク。その疲れを癒やすのが『甘酒』だったはず」と話す。
規制が解除されたら「原点に戻って体に良い甘酒のドライブスルーから始めてみよう」と方針を決めると、旧東海道沿いで営業する店舗や施設も賛同。甘酒以外の商品も用意。甘酒のほか、畑宿 桔梗屋の「そば(持ち帰り)」、奥湯本天山湯治郷「温泉入浴券」、湯本 ちもと「御菓子(各種)」の商品やチケットを販売した。
現在の箱根は、観光、宿泊、飲食の施設が再開準備に忙しい。旧東海道を利用するケースも多く、甘酒を味わってくつろぐ姿が見られるようになった。「箱根で働く人たちの顔は以前より明るくなった。早く安心できるようになれば」と山本さんは話す。
当面の販売時間は10時~16時。ドライブスルーは6月4日まで。