小田原で1893(明治26)年創業の日本料理店「だるま料理店」(小田原市本町2)が6月1日に営業を再開し、常連客を中心に来店客数が増え、店内に徐々ににぎわいが戻り始めている。
網元をなりわいとしていた達磨(たつま)仁三郎が、相模湾で水揚げされる魚介を提供する店として創業した「だるま料理店」。店名は初代・達磨から命名。社寺を思わせる唐破風入母屋造りの建物は、国の有形登録文化財に指定されている。創業当時から天ぷらやすしが評判を呼び、現在に至っている。
4月26日、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言の発令を受けて休業。6代目店主の武藤孝子さんは「私の代になり、事業の見直しと改善という大変な作業をやっと終わって『さあ、これから』と頑張り始めていたときに休業。6月1日の再開までは、試行錯誤の繰り返しだった」と振り返る。
武藤さんは、再開したときのために衛生管理、メニューの確認、サービスの徹底や接客シミュレーションを料理長やスタッフと何回も実施。「より喜ばれる日本料理店を目指して活動を続けた。おかげさまで大きな収穫を得ることができたように思う」と話す。
営業を再開すると、「達磨A・天丼とお刺し身のセット」(税別2,200円)の注文が出た。「うれしかった。『達磨A。お二つ』と板場に注文を通す声が響いた。このときは感無量だった」と話す。
開店から1週間。最近では徐々に客が戻り始めてきた。その様子に武藤さんは目を細める。「先代から預かった『だるま』。常連さんや、地元の方々、観光客の人々に喜ばれ満足していただける店として続けていくことが私の使命」と話し、忙しく予約の電話に対応していた。
営業時間は11時~21時。