ポーラ美術館(箱根町仙石原小塚山)は二人の巨匠に焦点をあてた企画展「モネとマティス もうひとつの楽園」を開催している。
印象派の画家クロード・モネ(Claude Monet, 1840~1926年)と、強烈な色彩と大胆な筆致を用いるフォーヴィスムの画家アンリ・マティス(Henri Matisse, 1869年~1954年)は、絵画を制作する上で理想的な環境をつくり出し、いわば「楽園」を追い求めた共通の姿があったという。
モネは風景や庭などの自然を描き、マティスは室内や人物を中心に描いた作品が多い。2人に共通しているのは、創作の前に「楽園」づくりから始めていた点。モネは絵筆をとる前に、自分のイメージに合わせて庭を造り手入れをしたと言われ、マティスも描き始めるに当たり、部屋を装飾し家具や小物を置いてからキャンパスに向かったという。
今回の展示会では、モネ・コレクションで著名な「マルモッタン・モネ美術館」や、マティスの生まれ故郷であるル・カトー=カンブレジの「マティス美術館」をはじめとした海外7カ所から14点、国内21カ所から約30点の名品が箱根に集結。ポーラ美術館が収蔵するモネ作品19点、マティス作品8点とあわせて、約80点を展示している。
展示会が既に始まっていた7月16日にはアメリカのピエール・アンド・タナ・マティス財団コレクションより4点の作品も日本に到着し、7月29日から展示に加わった。更に、8月1日にはフランスのマルモッタン・モネ美術館より14点が到着し、8月9日より展示。いずれも、新型コロナウイルス感染症の影響により海外から輸送が困難になり、作品約20点の展示を延期せざるを得なかった。これらの到着で作品がほぼそろった。
ポーラ美術館の学芸員・近藤萌絵さんは「世界と日本の各地から送られてきたモネとマティスの作品をそろってみることのできる少ないチャンス。風景と室内を主題とした二人の画家に共通する作品制作の背景にも迫る企画展。この機会にぜひご覧いただければ」と来館を呼び掛ける。
開館時間は9時~17時。年中無休(9月1日~3日までは展示替えのため休館)。11月3日まで。