伊豆箱根鉄道(静岡県三島市)は、箱根芦ノ湖で運航する「遊覧船事業」を富士急行(山梨県富士吉田市)に譲渡する。対象となる事業領域は、双胴船3隻と、湖尻・箱根園・元箱根・箱根関所跡の4港のほか、レストハウスのある「箱根 湖尻ターミナル」などの施設が含まれる。
譲渡は伊豆箱根鉄道が新たに「芦ノ湖遊覧船」を設立し遊覧船事業を分割して移行。この新会社を富士急行が譲受し富士急グループ傘下に入る。譲渡・譲受の時期は2023年3月1日を予定。
富士急行は、熱海から初島へ船舶を運行する「富士急マリンリゾート」、河口湖や本栖湖で遊覧船を運営する「富士五湖汽船」、山中湖で遊覧船を運営する富士汽船などがあり、各地で遊覧船事業を展開。2021年12月1日に函南町の十国峠レストハウスとケーブルカーの施設を伊豆箱根鉄道から譲渡を受けた経緯があり、「芦ノ湖遊覧船」が箱根エリアでの事業拠点になりうることから決定した。伊豆箱根鉄道が元箱根港、箱根関所跡港で営業する飲食店・物品販売事業は譲渡対象外となる。
箱根芦ノ湖遊覧船は、「湖尻」や水族館などのある「箱根園」、箱根神社に近い「元箱根」、箱根関所に隣接する「箱根関所跡」の各港から乗船できる周遊船。船上からは箱根関所や箱根神社の平和鳥居、富士山などを観賞することができる。
富士急グループでは今回の事業譲受を受け、春休み、ゴールデンウイーク、夏休みに向けて、家族で楽しめるイベントやリニューアルを計画。「遊覧船を中心とした芦ノ湖の新たな魅力づくりを行っていく」という。事業譲渡する伊豆箱根鉄道は事業ポートフォリオを見直し、主力である鉄道、バスなどの交通事業と不動産事業に経営資源を集中させ強固な事業基盤の確立を加速する。