8月に入り小田原市下大井にあった「旧曽我支所」がリニューアルオープンした「SOGA BLEND(曽我ブレンド)」の本格的な利用が始まり、施設はにぎわいを見せている。
地域の営みの歴史を感じることのできる「SOGA BLEND」空間
旧曽我支所は1956(昭和31)年に、曽我村の一部を小田原市に合併した際に建設され、地域の行政拠点としての役割を果たしてきた。生涯学習センター分館や図書館分館としても利用されたが、2019年に老朽化を理由に廃止されていた。
小田原市は、施設の活用について民間提案制度を利用して市民から提案を募集。国府津で複合的な地域交流拠点「BLEND」を営む杉山大輔さんがこれに応募。杉山さんは「国府津にあるBLENDの利用者も増え、地域の人脈と情報発信の拠点とした活動が定着してきた。次の拠点を視野に入れていたときに民間提案制度のことを知り、応募し採択された。2022年10月に建物の売買契約をし、2023年6月にオープン。その後も快適性をアップするための改修作業を進めていた。夏に入り存在が知られるようになり利用者が増えている」と経緯を話す。
施設内では、楽しくつながるフリーな仕事場「里山コワーキング」、里山コネクションの交流場「コミニティーカフェ」、不用品を新たな商品へサイクルする「アップサイクル」、不用品を展示し次に生かす場「ストックヤード」、作品や商品の展示やアートの展覧会「ギャラリー」、商品・洋服・雑誌・映画などの撮影場「スタジオ」、ものづくりや試作品の製作場「ラボラトリー」、習い事・教室・イベントの場「レンタルスペース」、里山図書館として無料貸し出しの本屋「ブック」など多彩に活用できる空間を提供する。杉山さんは「地域の方々に知られるようになり、里山のゆったりとした時間を楽しめる場所として期待感も大きくなっている」と話す。
SOGA BLEND主催の企画展として、地域の参加アーティストが廃材や不用品をアートや新しいプロダクトにアップサイクルした作品の展示と販売する「UPCYCLE ART&PRODUCTS」や、施設内の空間で盆栽と本と音楽とお茶を楽しむ「BONSAI CLUB」なども行っている。
コミュニティカフェを担当するのは、加藤真優さんと加藤久美子さん。施設利用料の中にドリンクの提供も含め、コーヒーなどを提供している。加藤真優さんは「とても落ち着く空間。里山を流れる風に合わせて飲み物を提供している。大変やりがいがある」と笑顔を見せる。
杉山さんは「人が集まることでアーティストの発表の場にもなっている。人が交流することで貴重な地域の情報も集まってくる。『あっぱれ新聞 青空通信社』という超ローカルな印字型情報紙面の発刊も予定している。このほか、やりたいことが次々に湧き出ておりワクワクしている」と話す。