見る・遊ぶ

富士屋ホテルが「グッドデザイン賞」 歴史ある建築群を守りつつ時代に対応

創業145周年を迎える富士屋ホテルの建築群全景

創業145周年を迎える富士屋ホテルの建築群全景

  • 0

  •  

 富士屋ホテル(箱根町宮ノ下、TEL 0460-82-2211)が10月5日、日本デザイン振興会が主催する「2023年度グッドデザイン賞」を受賞した。

「メインダイニングルーム ザ・フジヤ」

[広告]

 1957(昭和32)年に創設された「グッドデザイン商品選定制度(通称Gマーク制度)」。約60年にわたって表彰を続けており、「よいデザイン」の指標として「総合的なデザインの評価・推奨制度」の役割を果たし続けている。

 1878(明治11)年に創業した富士屋ホテル。1891(明治24)年に本館、1906(明治39)年に西洋館、1930(昭和5)年に食堂、1936(昭和11)年に花御殿、1960(昭和35)年に新館(フォレストロッジ)を建築してぼぼ現在の建築群が完成した。

 1997(平成9)年には、本館など6施設が国の登録有形文化財に指定。2007(平成19)年には本館など7施設が経済産業省の近代化産業遺産に認定され、日本を代表するクラシックホテルとして利用されてきた。今回、歴史ある文化財的価値を維持・継承しながらサービス提供が可能な施設を実現していることが評価された。

 日本の黎明期のホテル建築を保存しつつ、時代の流れに沿って造り上げられてきた再現不可能な建築群に「耐震」という大きな転機が訪れた。富士屋ホテルでは、耐震改修促進法改正を契機に文化財的価値の保存と安全性確保の両立を目指し、歴史的建物に耐震・防災改修を実施。併せて、最新機能の厨房やバックヤードなどを含む「カスケード・ウイング」を新築し、歴史的建物に接続することでホスピタリティーの維持を成し遂げた。

 富士屋ホテルの植野高久さんは「貴重な文化遺産を、ただ残すのではなく、時代に対応したホスピタリティーの提供が可能となった。私たちの役割はこの空間を後世に引き継いでいくこと」と先を見据える。広報を担当する鈴木香さんも「価値のある賞を頂けてうれしい。これから先50年、100年と富士屋ホテルらしさが続いていくことを願っている。この空間をぜひ体験していただければ」と呼びかける。

 表彰式は10月25日に行われる。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース