小田原の松永記念館(小田原市板橋)で現在、絵画展「長谷川りん二郎展~あの猫に会いたい~」が開催されている。
主催する「おだわらミュージアムプロジェクト」は、市内の画家や画廊・美術関係者7人で結成。小田原に芸術的な環境を整えることを目指している。同展はプロジェクト第1弾として、小田原市と協働で取り組んでいる。
長谷川りん二郎は、パリで生活した経験から日本の自然の美しさを油彩で描く独自のスタイルを築いた洋画家。実物を目で見て描くため、完成まで長い時間を費やした。主に風景画を描き、晩年は花や身近な日用品の静物画も残している。生涯、絵画スタイルが変わらなかった珍しい画家と言われる。
父はジャーナリスト、兄弟は作家や文学者という環境で、自身も小説や詩を執筆した。今回は26歳~72歳の作品38点と共に、詩やデッサンなども展示。美術エッセイストの洲之内徹が「猫」の絵を譲り受けるまでの経緯なども紹介している。
描写は緻密ながら日常の美しさを描くやさしい色合いが魅力で、県外からのリピーターが増えているという。「多くの人にとても好評で、『人に教えたくなる』と言ってくれるので、口コミなどで来館者が増えている」とプロジェクトメンバー。「自然の美しさを描いたりん二郎と、自然を愛した松永耳庵の美意識に共通点があり、周辺の環境と一緒に楽しんでほしい」とも。
開館時間は10時~17時。入場料は、大人=500円、高・大生=300円、中学生以下・65歳以上(要身分証)無料。1月30日まで。