箱根写真美術館(箱根町強羅、TEL 0460-82-2717)で「吉田大朋メモリアル展~追想の巴里~(Yoshida Daiho Photo Exhibition)」が開催されており、多くの写真関係者やファッション関係者が訪れている。「吉田大朋プロジェクトチームD(代表=堀口桂子)」と箱根写真美術館の共催。
1960年代から活躍した写真家の吉田大朋さん。単身パリに渡り、日本人として初めてフランスの「ELLE誌」とフォトグラファーとして専属契約を結び、パリから本場のファッションを世界に発信してきた。
1970年からはニューヨークに居を構え、ファッション誌「MORE」「ハイファッション」「NOW」「ミセス」(以上・文化出版局)、「an・an」(平凡出版)などで活躍し、日本のファッション写真をけん引してきた。当時、フランスではヘムルート・ニュートン、ギイ・ブルダン、アメリカではリチャード・アベドンやアーヴィング・ペンらのフォトグラファーの全盛期。日本で「ファッションを撮れるのは、吉田大朋ただ一人」ともいわれ、世界のモードを日本へ伝える重要な役割を担った先駆的な写真家といわれている。
箱根写真美術館が吉田さんの写真展の企画を進めていたのは2017年4月。しかし、企画展直前の2月10日、吉田さんは享年82歳で急逝された。企画を追悼写真展として開催し多くの来館者が訪れた。箱根写真美術館では、3回忌を迎えるに当たり、2回目となるメモリアル企画展として2月6日より開催している。
吉田さんは1965年から67年までの2年間と、1975年から3年半フランスに滞在。パリを中心に各地を旅して撮影を続行。ヨーロッパの街並み、ファッションの都パリ、パリに住む人々の生活をレンズを通してフィルムに収めていた。当時撮影したパリの街並みは、1979年に文化出版局より写真集「巴里」として出版された。
今回の「吉田大朋メモリアル展~追想の巴里~」では、吉田さんが捉えたパリの街角を中心にヨーロッパの風景を展示。箱根写真美術館の遠藤詠子副館長は「半世紀経(た)った現在もなお新鮮さを失わず、写真家の視点、感動と感性を伝える作品群」と評価する。
開館時間は10時~17時(最終入場)。火曜休館。入館料は、大人=500円、小中学生=300円、未就学児童=無料。4月15日まで。