箱根大観山にあるバイカーズカフェ「DAMMTRAX CAFE(ダムトラックスカフェ)(湯河原町鍛冶屋、TEL 0460-83-6592)の経営を14年間続けてきた安藤涼子さんが卒業し、メキシコ料理店の料理長を25年務めていた田中勝則さんが引き継いだ。
卒業する安藤さんと、引き継ぐ田中さんに共通しているのは、共に「夢に向かった旅立ち」であること。安藤さんは2年前より湯河原で経営している「よるのあじと」に本腰を入れて6月下旬に新店舗でオープンする。大人がゆっくりとくつろぎながらひとときを楽しめる店舗づくりが次のステージ。「長年の夢をリニューアルした新店舗で実現したい」と話す。
田中さんは、東京・代官山のメキシコ料理の店「LA CASITA(ラ・カシータ)」で習得できた多くのことに感謝し、新たな舞台での挑戦と成功を「夢」として位置付けている。「安藤さんが築き上げた味とリピーターの人々。それをしっかりと守りながら、より新鮮で味わいのある商品をバイカーに提供する。「バイカーが喜べる店舗にするのが私の夢。私もバイカー」と話す。
安藤さんと田中さんを巡り合わせたのは安藤さんの乗る「VESPA GTS」と、田中さんが乗る「2005年式HAREYロードキング」。田中さんが気になるイタリア製の赤い「VESPA」に乗るのが「DAMMTRAX CAFE」オーナー兼店長の安藤さんだった。互いに意気投合して「夢」の実現のためにオーナーチェンジを実現することになった。
より多くの人に新オーナーを紹介するため安藤さんは、湯河原の「よるのあじと」で「ダムトラックスカフェ二代目襲名披露メキシコナイト」のイベントを開催。常連さんと新オーナーの親交を図った。安藤さんは「こうして少しずつ新しいオーナーのカラーが出ればよいと思う。田中さんになってから店内には田中さんの奥様が手作りする犬のポチ袋の販売も始まった。売り上げの一部を犬の保護活動に寄付されている」と話す。
「最後は百恵ちゃんがそっとマイクを置いてステージを離れたようにそっとレードル(調理器具)を置いて旅立ちたい」と語っていた安藤さん。最終日の5月6日には、朝から多くの人々が訪れ、新しい旅立ちを激励した。「今日は朝からたくさんのお客様に来ていただくことができ涙目になることをこらえるのに必死。うれしかった」と話す。当日激励にいった常連さんは、「こらえてなんかいない。泣いていた。14年間のいろいろな出来事か走馬燈(そうまとう)のようによみがえったのだと思う。とても良い引き継ぎだった」と話す。
この週末、「ダムトラックスカフェ」は名物のカレーを味わいに来るバイカーでにぎわい、「よるのあじと」では、新店舗の準備が進んでいる。安藤さんは、ポルトガルやスペインに新たな食材を求めた旅の準備に忙しい。