箱根観光の旅客輸送を担ってきた箱根登山ケーブルカー(強羅駅~早雲山駅)が12月3日、2020年3月下旬まで施設工事と車両更新作業のため運休に入った。
箱根登山ケーブルカーは、箱根町の強羅駅と早雲山駅とを結ぶ箱根登山鉄道が経営する鋼索(こうさく)鉄道で、関東地方最古。最大勾配は200‰(パーミル)で、高低差は214メートル。路線距離は1200メートルで6駅。単線2編成交走式で運行されている。
今回引退する車両はスイスのガングロフ社で製造された車両。現役を引退するのは、1995(平成7)年より運行していた「ケ100形」と「ケ200形」客車の2編成で、車内は傾斜に合わせた階段状が特徴。24年間にわたり箱根を訪れる観光客に親しまれてきた。
11月26日より「ラストラン」のヘッドマークを掲出して運行し、多くの鉄道ファンや観光客がレンズを向けていた。ラストランは12月2日。19時7分に強羅駅と早雲山駅を、それぞれ出発して運行され、来春までの運休に入った。
翌3日には車両の撤去が行われた。車両がつるし上げられると「お疲れさま」の声が聞かれた。箱根登山鉄道では、来春に導入される車両の細目が決定次第発表するという。
箱根登山ケーブルカーの沿線にある箱根写真美術館の遠藤詠子副館長は「いつも走っていたケーブルカーの音が聞こえないとさみしい。春には新しく快適になって戻ってくるので、とても楽しみにしている」と話す。箱根写真美術館は強羅駅から一つ目の「公園下駅」そばにあるが、遠藤さんは強羅駅より徒歩で沿線に上がっているという。「5分弱なのでちょうどいい散歩。新しいケーブルカーの車両が早く来ないかと待ち遠しい」と話す。
運休中は、代行バスが強羅駅~早雲山駅間で運行されている。