高齢の母のために豆腐かつをカツ丼風に味付けし箱根強羅の名物に育った「豆腐かつ煮定食」を提供する「田むら銀かつ亭 本店」(箱根町強羅)が、5月24日より時間短縮で営業を再開した。
創業者の田村音松さんが、旅館「銀水」の勝俣社長から引き継いだ。銀水の「銀」と勝俣の「かつ」から「銀かつ亭」と店名に残すことが条件で引き受け、店名を「田むら銀かつ亭」と命名した。
看板メニューは「豆腐かつ煮定食」。2代目店主の田村洋一さんは「高齢の母への思いから始まり、その気持ちを大切にすることが繁盛への道につながる」と自分に言い聞かせて営業を続けてきた。そして、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言の発令を受けて休業。
その期間にも田村さんは、従業員とともに次の手を模索し挑戦してきた。本店に隣接する「銀かつ工房」と連携して「田むら銀かつ亭テイクアウトメニュー」を用意。看板商品の「豆腐かつ煮」「銀かつサンド」「ロースかつ」のほか、「日替わり弁当」(550円)、「ロースかつ弁当」(800円)、「かつ丼」(700円)など提供。弁当メニューは、予想を上回る販売量になったという。田村さんは「箱根では開業の準備が忙しくなっている。新たに建設される施設も多く、そうしたところのスタッフさんが買い求めてくれた」と話す。
このほか、サービス手法の見直し、衛生面の強化、注文の取り方などを全員で考え、新しい方法を作り上げたという。「大変なとき。だからこそ全力で次への準備を続けている。試行錯誤だけれども…」と話す。
箱根エリアが少しずつ動き出す。観光施設、交通インフラ、飲食店、宿泊施設が「まるで平穏を願うように準備を始めている」と言葉を添えた。
当面の営業時間は11時~18時。