酒匂川を中心に小田原の光景や情景をカメラに収めている小澤宏さんの作品が、数多くの写真コンテストで入賞を続けている。
酒匂川水系の流域の10市町村を対象にした「母なる川 酒匂川フォトコンテスト」。2006年以来15回出品して、グランプリである会長賞3回の受賞含め14回の入賞を数えている。今年の作品は、小田原市酒匂川で撮影した「朝焼けの詩」で、優秀賞(3作品)のひとつとして入賞。小澤さんは、「酒匂川は子どもの頃からの遊び場だった。50年以上のときを経て、今は私の絶好の撮影場所になっている」と話す。
一般公募で選ばれたフォト作品が四季を伝えるカレンダーになる「小田急ロマンスカーカレンダー2021」。「ロマンスカーフォト作品募集」の中から、最優秀賞1作品、優秀賞12作品がカレンダーの表紙と各月の写真に採用される。小澤さんの作品は、6月の「絶好の行楽日和(びより)」。小田急電鉄小田原線の新松田駅~富水駅にかけて咲き誇るアジサイ、背景に足柄連山と残雪の富士山をフレーミングした作品で、主役であるローズバーミリオンカラーのロマンスカーGSEの色彩を上手に表現している。
農林水産省関東農政局が主催する「農のいとなみ鉄道フォトコンテスト」でも、里山で行われる農業の様子を描いて「関東農政局長賞(グランプリ)」に輝いている。小田原近郊を常に回り写真の素材を探し出してレンズを向けている作風が高く評価されての受賞だった。
小澤さんは、小田原に事業所を持つフジフィルムの技術部門に所属して磁気テープ関連の業務を担当していた。「夫婦で花や樹木を見ることを楽しみにしているため写真のほとんどが花だった」と小澤さん。朝焼けの酒匂川で撮影した1枚が人生を変えた。コンテストに応募すると会長賞を受賞。「これがきっかけで写真を撮り続けてみようと心が決まった」と話す。
小澤さんは新たなテーマに挑戦するため、早川にある小田原漁港に通う。出港する船をカモメが追う姿にレンズを向けている。「漁師とカモメがファインダーに写るとドキドキする。これからも納得できる写真が撮れるまでシャッターを押し続ける」と意欲を見せる。