箱根登山鉄道モハ2形109号のラストランが3月21日に行われ、沿線から「さようなら」「ありがとう」の声が響き渡った。
荒天の中、強羅駅を14時53分に出発したモハ2形109号に向けて、沿線で見守る人々から感謝の言葉が聞かれた。15時32分に箱根湯本駅に到着したモハ2形109号。ラストランを祝福するように線路際のハナモモ(花桃)が満開となっていた。
箱根登山鉄道の前身である小田原電気鉄道で、1927(昭和2)年に登場した木造車の走行系機器と新製車体を組み合わせて製造された「モハ2形」。1955(昭和30)年に始まった鋼製車体への改造が行われるが、屋根部分に木製の面影が残っており、クラシック感あふれる車両としてファンも多い。
「グォーン」とモーター音をまねしながらラストランを見送る人、傘を持ちながらレンズを向ける人、「受験の日、就職面接の日、初デートの日。みんな109号だった」と話しながら手を振る人など、多くの人が沿線で見送った。
箱根登山鉄道に魅せられてレンズを向ける写真家の大橋史明さんは「たくさんのファンを乗せて、最後まで力強く走ってくれた。例年にも増して早咲きのこの春、線路際のハナモモが満開になって、まるで109号最後の日をねぎらっているようだった。箱根湯本駅に到着後、さらに強まる雨の中、車庫へと静かに戻っていった。109号らしいラストランだった」と振り返る。