小田原地域で満開を迎えた桜は、見ごろを徐々に標高の高い地域へと移動させる「桜の山のぼり」が始まっている。小田原や箱根では、花見スポットを移動することで満開を1カ月以上も楽しむことができる。
小田原から始まる「桜の山のぼり」。入生田、大平台、宮城野、箱根強羅公園、箱根小涌園蓬莱園、恩賜箱根公園と続き、終着が箱根園の「湖畔の一本桜」となる。
「湖畔の一本桜」の歴史は1956年頃までさかのぼる。当時、西武グループのホテル・リゾート事業は「箱根土地」(後のコクド、2006年2月解散)によって推進。箱根湖畔に「芙蓉亭」の完成から開発に拍車がかかり箱根園キャンプ場もこの時期にスタートしている。1957年に飛島組(現在の飛島建設)が1936年から営業していた「浜名湖ホテル」を移築して「龍宮殿」として営業を開始した。「芦ノ湖畔・箱根園のシンボルが欲しい」との判断で桜を植えることになった。
「ソメイヨシノ」と「江戸ヒガンザクラ」も候補になっていたが、樹命と標高のことから「大島桜」に決定。伊豆半島に自生している大島桜を10本程集め、その中から勢いの良い5本を選び寄せ植えしている。
樹齢は100年を越える「湖畔の一本桜」。枝張り22メートル、幹回り5メートル、樹高12メートル、幹回り70メートルの威風堂々とした樹勢を保ち、芦ノ湖畔のシンボル的な存在になっている。
5本が一体となって厳しい環境の中で生き続け、毎年4月中旬から5月上旬に淡い紅白色の花を咲かせ続けている。その姿は見る人に感動さえ与え、毎年訪れるているファンも多い。「凜とした姿が感動的」「いつも元気を頂いている」の声も聞かれる。