箱根・芦ノ湖畔の「小田急山のホテル」(箱根町元箱根)で、開花状況に合わせて4月下旬~5月下旬の期間に「つつじ・しゃくなげフェア 2023」が開催される。併せて、開業75周年を記念した写真展や講演会などのイベントも行う。
庭園内には30の古品種を含む84種約3000株のツツジと42種約300株のシャクナゲが植栽され、2022年にツツジが「後世に残すべき植物遺産」として「日本植物園協会ナショナルコレクション第10号」に認定。3月17日にはシャクナゲも「日本植物園協会ナショナルコレクション第15号」に認定された。
同ホテルでは2014(平成26)年の大雪をきっかけに、5人の専任スタッフが行う手入れだけでは100年後まで現在の景観を維持できないとの結論に達した。そこで、「庭園プロジェクト」を立ち上げ、ツツジ・シャクナゲの維持・再生を目的とした活動を始めた。
三菱財閥4代目総帥・岩崎小彌太男爵が1911(明治44)年に別邸を建て、庭園にツツジとシャクナゲを植栽し現在に至っている。プロジェクトでは、男爵の思いを受け継ぎ、「男爵の100年ツツジ 100年先への挑戦」を合い言葉に2015(平成27)年、本格的に始動。2016(平成28)年から6年にわたり、開花時にツツジ・シャクナゲの研究者である倉重祐二さんが品種調査を行い、データ化に取り組んだ。併せて、挿し木や接ぎ木による貴重な品種を増殖し、樹木のための土壌改良なども行い、100年後を視野に入れた管理を継続している。開花状況に合わせて開催する「つつじ・しゃくなげフェア 2023」では、こうした手入れの行き届いたツツジとシャクナゲが観賞できる。
鑑賞できる貴重種は江戸時代の園芸書に既にその名が記されているツツジの「飛鳥川(あすかがわ)」と「白万葉(しろまんよう)」。シャクナゲの貴重種では、岩崎小彌太男爵が日本で初めて輸入した西洋シャクナゲといわれている「ゴーマー・ウォータラー」と環境省絶滅危惧種に選定されている日本固有種「キョウマルシャクナゲ」。これらを目当てに来園する人も多いという。
庭園見学時間は9時~17時。庭園見学料は1,000円(小学生以下無料)。
【追加情報】
4月15日現在、小田急山のホテルのツツジとシャクナゲは、3月からの温暖な気候の影響で、例年に比べ1週間から10日ほど早く開花する見込み。現在の予想では、4月下旬より5月上旬頃に見頃を迎える予定。