木造の駅舎で知られる東海道本線根府川駅が最寄り駅となる小田原市郊外の根府川地域で、「おかめ桜」が満開となり地域一帯をピンク色に染めている。
歩く人に見やすく、ややうつむき加減に咲く「おかめ桜」(「離れのやど 星ヶ山」施設内)
「おかめ桜」は、桜の原種の一つで、旧暦の正月あたりに咲くことから命名されたガンジツザクラ(元日桜)の別名「カンヒザクラ(寒緋桜)」と、桜の野生種の一つで富士山の山麓や箱根近辺に自生している「マメザクラ(豆桜)」(別名=フジザクラ)を掛け合わせたもので、イギリスで生まれている。ソメイヨシノより早咲きで、やや遠慮してうつむき加減に咲くが濃いピンク色の花を付け春到来を告げる役割を持つ。
「ややうつむき加減に咲いているのではなく、歩く人に見やすくしているのかも」と話すのは、「離れのやど 星ヶ山」の内田昭光さん。内田さんは、キノコ栽培とレストランを営む「きのこ苑 お山のたいしょう」や果樹園「オーランジェ・ガルデン」と共に、里山の景色を残し地域の魅力を高めることを目指して、20年前から「おかめ桜」の植栽を推進してきた。
現在までに1000本を超える植栽が行われ、満開になると根府川周辺がピンク一色に染まる。「桜のトンネルのように植えられたのではなく、里山に同化するように花を咲かせているので和(なご)める。今年は10日ほど早く開花した」と話すのは、「きのこ苑 お山のたいしょう」の佐久間孝子さん。「オーランジェ・ガルデン」の広井久訓さんは「満開で今が見ごろ。『おかめ桜まつり』も始まったのでぜひ来場を」と呼び掛ける。
「おかめ桜まつり」は2月29日~3月22日。