2019年10月の台風19号で土砂崩れや一部線路の流出など甚大な被害を受けた箱根登山鉄道が、地域の人々の願いや協力で7月23日に全線再開した。
一番電車の強羅駅発「箱根湯本行き」は5時23分に、箱根湯本駅発「強羅行き」は5時50分にそれぞれ出発した。箱根湯本駅を出発した強羅行きの乗客は約30人。「出勤前に運転再開が気になって乗りに来た」(小田原在住)、「湯本発の一番電車に乗るために箱根湯本のホテルに泊まって家族4人で乗りに来た。今日のこの日をすごく楽しみにしていた」(観光客)や、鉄道ファンから喜びの声が聞こえた。
全線再開を祝福する商店経営者は「箱根は負けない。箱根の噴火警戒、台風19号、そしてコロナ。どんなことが起きても地域の皆で力を合わせて乗り越えていく。それが箱根の底力。そして今日が復活の第一歩」と自分自身に言い聞かせるように言葉を選んだ。
途中の駅では「おかえりなさい。箱根登山鉄道」の手書きボードを抱える女性や、精一杯の拍手を送る住民などの姿が見られた。彫刻の森駅から強羅駅の沿線でも、地域の人々が「おかえりなさい」と到着する電車を祝福して出迎えた。